縁起 (1/4)
境内

港を見下ろす風頭山の山麓に寺院が並列する寺町通り。そのなかほどに、広いゆったりとした南方風の境内をもつ興福寺は、かつて日本のなかの中国だったのです。
雄大な朱色の山門により「あか寺」として市民に親しまれ、長崎を訪れる多くの人々が立ち寄る興福寺は、我が国最初の黄檗禅宗の唐寺で、開祖隠元(いんげん)禅師が、中国より初めて日本に渡海され住持した宝地であり、眼鏡橋を架けた黙子如定(もくすにょじょう)禅師、近世漢画の祖逸然(いつねん)禅師など、そうそうたる中国高僧が住持したことでも知られます。このように、日本黄檗宗発祥の地、隠元禅師初登の聖地というユニークな歴史を記した全境内は、現在、県の史跡として保護されています。

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