普茶料理 (1/2)
精進料理は、中国伝来の外国料理であったものを、禅宗寺院が食法として取り入れ、日本の風土と材料のなかで、工夫を重ねて作り出したのが日本の精進料理であり、懐石料理や家庭の惣菜料理の源となっている。
「普茶料理」とは、隠元禅師が中国から長崎に渡来され、興福寺に伝えた中国式の精進料理で、和式とは趣を異にしている。「普茶」とはあまねく茶を喫すると言う意味で、禅宗寺院の法要の前後に僧侶たちが集い、お茶をいただきながら打ち合わせや反省をする「茶礼(されい)」という儀式からくる。
黄檗宗では、この茶礼のあと「謝茶(じゃちゃ)」といい、打ち上げの食事をするが、これは黄檗宗のみの習慣で、円形の卓を上下のへだてなく、数人ずつで囲み親睦をはかる。この食事の形は、元来、個々の膳で身分の順に並んで食する日本の習慣に新風をあたえた。
隠元禅師が長崎にもたらしたいんげん豆やもやし、西瓜、茄子、落花生、金針菜、蓮根などの植物、胡麻豆腐、胡麻和え、精進揚げ、けんちん汁などの料理は、興福寺の普茶料理に生かされるだけではなく、今では一般的な家庭料理となっている。