文化財 (8/10)
旧唐人屋敷門(長崎市所有) 国重要文化財
旧唐人屋敷門寛永18年(1641)出島にオランダ人が収容されたが、約50年後、市内に散宿していた唐船主以下中国人も民宿を禁じられ、元禄二年(1689)、十善寺郷(現在の館内町)に収容された。この処置は、密貿易を防ぐためともいわれたが、外出は比較的自由で、約一万坪の広大な敷地内には住宅、店舗、祀堂などが軒を連ね一市街地を形成し、唐館あるいは唐人屋敷と呼ばれた。当時の建物は大火や移転などで何一つ残っていないが、この唐人住宅門だけが民家の通用門として遺存していたのを、昭和三十五年、保存のため中国にゆかりの深い興福寺境内に復元した。扉は二重で内門は貴人来臨専用だった。用材は中国特産の広葉杉、柱上部の藤巻、脂肘木、鼻隠坂、懸魚などに中国建築特有の様式が見られる。建築年代は不明だが、天明4年(1784)の唐館全焼の大火以降のものと推定される。